[広報委員] 2年生対象 キャリア教育 取材

11月21日(木)、本校38期生の髙木隆(たかぎ りゅう)氏をお招きし、2年生を対象とした国際キャリア教育講演会が実施されました。

髙木氏は、アメリカで公認会計士の資格を取得しプライスウォーターハウスクーパースを経て、現在はパシフィックリーグマーケティング株式会社のメディアライツ事業部にて海外グループマネージャー、キャリアアドバイザーとしてご活躍されています。

実は校長先生のブログをフォローされていて、ご自身から講演の申し出をしてくださったとのことでした。その理由として、キャリアアドバイザーとして中途採用の面接などもされているそうですが、自分のキャリアについて考えている人が少ないそうです、高校生のうちからしっかりと考えておくことが大切で、スポーツ業界または他の業界にとっても重要だと考えたそうです。

また、今夏の甲子園球児(高3)のインタビューを紹介しながら、

「(今後の進路として)野球一本でいくのも良い道だと思うが、選択肢が1本になりすぎてもったいない、自分が将来やりたいことが見つかったときに何でもできるようにするためには、今のうちに勉強したり大学に行かないと将来やりたいことはできない。将来のために選択できるカードを多くもっておくことが有利となる、今日の講演のこと一切忘れてもいいので、この“選択肢”という言葉を頭の中においててください!!」ということを強く言われていました。

キャリアアドバイザーとして活躍中の髙木氏ですが、ご自身のキャリア出発はアルバイト生活だったそうです。

高校時代は小学校の先生を目指し、教育学部のある大学進学を希望していたそうですが、現役合格が叶わず、浪人する予定だったところを“しない決断”をされたそうです。卒業後はフリーターとなり、2年ほど母校の小学校でサッカーのコーチをしていたこと、その経験からスポーツに関わる仕事に就きたいと考えアメリカ留学することを決めたこと、3年かけて英語勉強の傍らアルバイトを掛け持ちして留学資金を貯めバーテンダーやバリスタなど腕を磨いたこと、留学先はLAなど日本人が多いところは英語をしゃべる機会が少なくなるので日本人があまりいないミネソタ州を選んだこと、その大学時代ある出会いをきっかけに会計学を極めることに決めたこと、そしてアメリカ勤務の経験から感じたことや日本との違いなどについて、お話してくださいました。

~己ができることを知り、世の流れを知れば、近い未来に何をすべきか決断できる~

(生徒たちは事前にライフストーリーマップを作成し持参)

①本日のテーマ(伝えたいこと)

『彼を知り己を知れば百戦殆からず』

敵も味方も情勢をしっかり把握していれば幾度戦っても敗れることはない、という孫子兵法書の一節。味方(=己自身)と、敵(=世の流れ)をしっかりと把握していれば負けることはない、まずは己を知ること、誰にでも“できること”はある、それを“どこにどの流れで使うか”によって自身のキャリアを最大化できる。

②己(ができること)を知る

興味や関心のあることを見出すこと、そして自分の価値観というものを考えてほしい。過去の経験や挑戦、成功や失敗など喜怒哀楽の気持ちを記した自身のライフストーリーを見える化することで、人生を見返し、自分ができることを知り、何に価値のあるなしをつけるのかを判断することができる。

③世の流れを知る

VUCAの時代、急激な変化が起こる時代であり、ChatGPTなどの生成AIの普及が注目されたり、コロナ禍もあり近年の日本でもジョブ型雇用の導入が進められていたりと、個人も企業も世の中の流れを常にキャッチアップしていって、アップデートしていくことが求められている。

④現在、近い未来に何をすべきかを逆算する

自分はいま何をすべきかを逆算する。高校2年生の現在、ここから1年後さらに10年後の未来を決めて期限を区切り、なりたい自分になるために小さな実行を積み重ね継続する、そして布石を打つ。達成するのはなかなか難しいので小さい目標をたてる。

⑤具体例

髙木氏ご自身のライフストーリーチャートから、歩んできた道の中で、経験したり感じたりしたことが興味・関心・価値観となり、そこから行動につながった経緯など、②~④についてを具体的に説明。 

「自分を知って世の中を知って現在と未来の間をどう進めていくのか、達成したいことを描いて、そこに簡単にいくことを考えるのではなく、いかにしてトリを決めていくのか、今自分は何をやるべきかを考えていってほしいと思います」

そして最後に2つ、『ikigaiフレームワーク』と『思考は、やがて運命になる(簡略したマザー・テレサの言葉)』を紹介してくださり、ライフストーリーマップを見返して、改めて自分の価値観・興味・関心を考えて、今後のキャリアに生かしてほしい、と伝えてくださいました。

大きな拍手で体育館が包まれ講演会が終了しました。髙木氏の、事前に集められた生徒からの質問に、ひとつひとつ丁寧になおかつ情熱的に答えられていた姿が印象的でした。2年生の中にはまだまだ進路に悩んでいる生徒が多いと思いますが、今日の髙木氏のメッセージが種となって生徒たちの心に残り、なりたい自分への原動力になってくれることを願います。