
【広報委員】 R6年度アジアスタディーツアー報告会 取材
アジア・スタディツアー in カンボジア・ベトナム報告会(5月9日 箕面高校 図書室)
今年で2年目となるアジアスタディ・ツアー7日間の体験報告会が行われました。
生徒たちは春休みの期間、現地を訪れ貧困や教育、支援のあり方、戦争と平和について、実際に自分の目で見て感じ学んだこと、それと同時に自分自身とも向き合い、未来への課題について話をしてくれました。その報告内容の一部を記します。
【報告内容】
カンボジア・ベトナムに対して、子供たちは、「貧しくて衛生状態が悪そう」「子どもが家族の為に働いている」「地雷があって危なそう」「十分な教育を受けられなくて、かわいそう」など、マイナスなイメージを出発する前は持っていた。ところが、現地に到着してからはそのイメージが一変し、驚きと衝撃を受け、見るもの、聞くもの、触れ合う人、その一つひとつを真剣に受けとめようとしていたことが、生徒たちが発する言葉から伝わってきた。
まず、カンボジアの首都プノンペンには、高層ビルやイオンモールがあり、日本と同じファーストフード店やブランドのお店も入っていた。街では車よりもバイクが多く走り、渋滞も激しく、ネオンが光る都会的な雰囲気に驚いた。高級車も走っているのを見て「こんなに発展しているんだ」と感じた一方で、街を少し離れると、電気も水道も通っていない地域や、ゴミ山の近くで生活する人々もいて、貧富の差がとても大きいことを実感した。
(※カンボジアにはゴミを分別して処理する仕組みがない為、一箇所に集められたゴミが山のようになり、「ゴミ山」と呼ばれています。)
ゴミ山に住む、ある大学生は、ゴミを拾って売って生活費を稼ぎながら、大学に通っている。また、教育を受けられず、働く子どもたちも多く、発展しているように見えても、その恩恵を受けていない人たちがたくさんいることを知った。
その中で、発展=都市化? 発展=経済成長? 本当にそれが「発展」なのかと疑問をもち考え続ける生徒もいた。実際、カンボジアの経済成長率は日本よりも高く、カンボジアの首都だけを見てみると発展しているように見えるが、中心部から少し離れただけで動物の小屋のような小さくてボロボロの建物がある。このように格差が大きく、貧しい人たちの生活は良くなっているわけではない。
そんなカンボジアにおいて、子どもたちはとても元気で明るく、フレンドリー。けん玉や「だるまさんが転んだ」「ハンカチ落とし」など、日本にもある遊びで一緒に楽しんだ。子どもたちの笑顔と、楽しそうに暮らしているのを目の当たりにし、生徒たちは、「貧困=不幸」と勝手に決めつけ、自分の価値観や幸せの物差しを彼らに押し付けていたのかもしれないと気づかされたという。
ベトナムでは、ベトナム戦争時代の「クチトンネル」、カンボジアでは「キリングフィールド」を訪れて、戦争の恐ろしさと、記憶を「どう伝えていくか」の大切さ、また、国や立場が違えば、「正義」の意味も変わっていくことを学んだ。でも、何十年も続いた戦争で長い間国民が苦しみ、たくさんの人の命が奪われた上、戦後も配給制の食事がなされ、国民的には苦しかったという事実は変わらない。そして戦争を体験した人たちがいなくなると、記憶が「歪められる」こともあり怖いなと感じた。だからこそ、「知識は義務教育から得られますが、きちんと知るためには動画や、写真、現地の方が書いた小説を読むことも大切です」と生徒が伝えてくれた。
次に、支援のあり方について。
“支援”と聞くと、募金や物資の寄付を思い浮かべるが、「本当に必要な支援」を現地の支援内容も含め、生徒たちから教えてもらった。
たとえば「ダーティツーリズム(施設見学と募金がセット)」と呼ばれる、学校や孤児院を見学して募金するツアーは、子どもの学習を妨げ「見世物」のような扱いになってしまうので参加してはいけない。
また、子どもにお金を渡してはいけない。なぜなら、その子どもは物乞いでしかお金を得ることが出来ないまま大人になり、その大人が子どもを産むとその子どもに物乞いをさせるようになり将来を奪いかねないからである。
“支援”とは、自己満足ではなく、
相手の自立を支えるものなので信頼できる“NPO”や“JLMM”などプロの団体に寄付。
“JLMM”などの団体では、母親の仕事支援や家庭への教育費支援など「家庭全体の自立」を目的にした支援をしているので、そうした活動を応援することが大切である、と生徒から教えてもらった。
最後に、生徒たちから聞いたことをここに残します。
〇“今、私たちにできること”
私たち高校生にもできることはあります。たとえば文化祭で募金活動を行い、次年度のスタディツアーで現地に届けてもらうこと、学んだことを発信すること。「微力でも無力ではない」という気持ちを忘れずに、これからも考え、伝えていきたい。
〇“今回の体験で学んだこと”
・先入観や固定観念にとらわれず、実際に現地を見て考える大切さを痛感。
・現地で見たこと、感じたことを、自分の中だけで終わらず周りに伝え、行動につなげること。
・「かわいそう」「助けなきゃ」という上から目線ではなく、一人の人間として、相手と向き合うことが大切。
以上が報告会の一部です。
生徒たちの現地民への熱い思いはここには書ききれません。是非、『2024年度 アジアSDGsスタディツアー 記録集』を手に取って隅々まで読んでいただきたいです。一保護者の感想はおこがましくて書きませんが、
これだけは申し上げさせてください。アジアスタディツアーを許可してくださった校長先生はじめ、計画、引率をして下さった先生方、現地に行きたいという我が子を送り出して下さった親御さん、そして現地での体験を報告してくれた生徒たちに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
箕面高校生、一人の人間としての思いが多くの人に伝わりますように☆